エリクソンの8つの発達段階を理解するメリット

 エリクソンの発達段階とは、人間の一生を年代別に区切り、各段階での発達課題とそれをクリアしたときに得られる長所と、育て方や適応の仕方に問題があった時に起こって来る問題点とその解決法、対処の仕方について解説したものです。

 発達段階は8つに分けられています。

 エリクソンの発達段階は、子育てや各年代で壁や障害にぶつかった時に、解決へのヒントが得られる理論と言われています。

 エリクソンは、それぞれの時期に起こる発達への課題を「心理社会的危機」と呼びました。

 この課題をクリアできない場合は、次の発達段階へ進むのに停滞が起こりやすいといいました。

 つまり、エリクソンは人間はこれらの課題をクリアしながら成長していくと考えたのです。

エリクソンとはどのような人でしょうか?

 エリクソンは1902年にドイツに生まれ、アメリカで活躍した精神分析医です。

 元々は、無意識の発見者にして精神分析の創始者であり、カール・マルクス、チャールズ・ダーウィンと並ぶ20世紀の3大学者と言われるジークムント・フロイトの弟子で精神分析や発達心理学を研究し青年を対象に心理療法を実践しました。

 1950年に「幼少期と社会」という発達段階論についての著書を発表し、この本で「人間の8つの発達段階」についての理論を発表したのです。

 エリクソンは、「 アイデンティティ」という言葉の生みの親でもあります。

アイデンティティとは個性のことです

 「自分が自分であることと感じられる条件・素質・才能」や「自分が他者や社会から認められている有用な人間である」という自覚を得られるのも、アイデンティが確立されているからです。

  この 『人間は成長とともに段階を踏んで発達する』という考えは、人生を生来の才能を十全に発達させ開花させる過程、つまり自己実現をめざす過程であると考えた、同じフロイトの弟子であるカール・グスタフ・ユングの思想から大きな影響を受けているのは間違いないよう思います。

 ユングはこの過程を『個性化の過程=individuation process』と呼びました。
 Identityという言葉はこの言葉から来ていると私は推測しています。

 ユングは内なる異性のが人生で段階を踏んで発達し自己に統合されると考え、アニマ・アニムスの発達段階を提唱しました。

 エリクソンの発達についての興味はここから来ているのかもしれません。

エリクソンの発表論文

 エリクソンは以下のような論文を発表しています。

幼少期と社会

 この論文で8段階ある発達段階が発表されました。
 エリクソンが幼児期の特性を身体的・精神的・社会的な視点で研究した論文です。

アイデンティティとライフサイクル

  
 この本ではエリクソン初発の論文が詳細に記されています。

  1. 自我の発達と歴史的変化
  2. 健康的なパーソナリティーの成長と危機
  3. 自我アイデンティティの問題

というエリクソンの主要論文が掲載されています。

アイデンティティ その完結

 エリクソンが老年期に記した論文です。8つの発達段階に加え、エリクソンの妻により9つ目の発達段階「老人的超越」が提唱されています。

8つの発達段階の解説

乳児期(0〜1歳半)

 授乳や排泄など、スキンシップを伴う世話を母親からしてもらうことで、自分を取り巻く世界への「信頼」を獲得していく時期です。これを基本的信頼感といいます。

 ゆえに、十分な世話と母からの愛情が感じされない場合、世界は自分を育んでくれる安全なものであるという信頼感を感じられず、後に不安定な人格形成につながっていく可能性があります。

幼児前期(1歳半~4歳)

 自分で排泄ができるようになろうとしたり、歩行を開始するなど自らの力を試して伸ばそうとする時期です。

 様々なことに挑戦するようになり自立心が養われ自己主張をするようになり、喜怒哀楽の感情もよりはっきりしていきます。

 過保護にしたり過度の習い事をさせたりして、多様なことに挑戦する機会を制限してしまうと当然自立心が育ちません。

 さらに子供は失敗を繰り返して、日常の取るべき行動を学んでいきますが、失敗を過度にしかったりすると恥や疑惑の感情を抱いて消極的になり委縮した性格が助長されかねません。

幼児後期(4歳~6歳)

 保育所・幼稚園に通う年齢ですね。

 通わせるには合理的な理由があります。この時期は仲間や集団の中で同年齢の子供たちとの付き合い方、交流の仕方を学んでいく時期だからです。

 その中で周囲に自分の主張を通そうとしていきます。
 ですから、この時期に自主性や積極性を上手くほめてあげれば、目的意識を持った行動を取れるようになります。

 しかし、自己主張を叱ったり、拒絶したりすると自己主張することに罪悪感を感じ消極的な子供になってしまいますので注意しなくてはいけません。

学童期(6歳~12歳)

 小学校に通う年代です。

 この時期の特徴は勉学が始まることです。
 学校で求められるのは規則を守ることと、真面目に集中して勉強することです。

 自ら作業をして物事を完成させたり、仲間と集団で行動をして何かを成し遂げたりする体験を重ねる事で自己有脳感が高められます。

 逆に色んな活動が周りと比較して上手くいかないことが多いと劣等感をいだいたり、活動することに消極的になったりします。

 子供にあった分野、例えばスクラッチやViscuitなどヴィジュアル言語でのプログラミングやロボット制作、ロボットプログラミングなどに取り組み、一つ々々を毎回完成させることで達成感を得て、少しずつ自己有能感を高めることが大切です。
 特にプログラムやロボットは人と比較してではなく、その子の完成したものを個別に評価されることで学校と違って有能感を育みやすいといえるでしょう。

 こどもの好きな物、無理なく取り組める分野を見つけてあげて誘導してあげることが大切です。 

青年期(12歳~20歳)

 中学生・高校生・大学1,2年生の時期です。

 この時の課題は自我の確立です。

 この時期は自分が何者で、どういった職業をめざせば良いのか、自分にはその能力があるのか?
 つまり、個性、自己の存在理由を探しはじめ、仮にでも「自分とはこういう人間である」と確信、つまり自我を確立することが求められます。

 ですから、この時期は性が目覚める思春期でもあり、精神的に非常に不安定になる心理的な危機の時期です。

 青年期は、「自分がどんな人間で、何者であるのか」と思い悩み、自分の「アイデンティティ」を探し始める時期です。

 この自我の確立に失敗すると、「自己同一性拡散」になり社会で不適応になることがあります。

 結果として、いつまでもある職業や分野をとことん極めてみようといった決心がつかずモラトリアム=猶予状態が続いていく可能性があります。

成人期(20〜40歳)

 成人期は恋愛・結婚や職業での実力の確立。人脈を広げるなど何かと親密な人間関係を築くことが要求されます。

 これらの人間関係が上手く築ければ良いですが、これに失敗すると独身が続いたり、会社などの職場に馴染めず孤独になったりします。

 また心理的な成長もできなくなる可能性があります。

 自分を孤独にする要因が職場や組織にあることも多く、それをいかに創造的に変革していくかが試されます。

壮年期(40〜65歳)

 次の後継者や部下を育てていくことに関心を持ったり、この役割を期待される時期です。

 心理社会的危機として、「生殖性」の課題が挙げられます。

 女性の出産可能年齢のリミットが40歳前後であり、男性がその後も子孫を残す事が可能ですが、婚期が遅れた女性には精神的にも深刻な危機が訪れます。

 「生殖性」は、子孫を残すだけでなく、芸術作品や今までになかった商品やサービスの創出と提供、社会的な業績など、自分が生きた証しとしての創造物を残したいと思うのもこの時期です。

 後継世代への貢献や社会的業績があげられない。その結果としての経済的貧困は人生の大きな挫折感、社会への恐怖感をもたらす可能性があると考えられています。

老年期(65歳〜)

 老年期は、今までの人生を総合的に見直す時期ですし、職業的にも社会によく知られるなどいわば人生の完成期です。

 その成果が良好であれば大いなる自己有能感や誇りが得られます。

 今までの失敗と成功から老人ならではの賢さ知恵が得られます。

 しかし、この時期に過去の人生を振り返ったときにそれが肯定できるものでなかったり、その時の経済的などの境遇が思わしくなければ老後に大いなる不安を持つことになるでしょう。

 その結果、鬱病などの精神疾患に陥る可能性もあります。

学童期にプログラミングやロボット制作する意義

 このエリクソンの発達段階を参考にすれば、発達障害のお子さんやギフテッドなど、特定の分野で天才的な才能を発揮する生徒や、コンピュータやロボットに高い親和性を感じる子供へのより適切な指導や進路誘導が出来る可能性が高くなります。

 例えば、「学童期」は、先に学童期の記事でお話した通り、人と比較しての評価ではなく、子供が成し遂げた事や、その進歩を評価してあげることができるため、自己有能感、肯定感を高める事ができます。

 『少年院に入る子供の特徴は過去に一度も賞をもらってほめられたことがないことだ』と、研究で分かっていますが、これをみても 自己有能感は子供たちのその後人生に決定的な影響を与えます

つまり出来るだけ楽しい成功体験を沢山経験させてあげることが大切なのです

学童期や青年期のお子さんの興味に合わせた学びを与え、「できた!」という体験をできるだけさせてあげましょう。

私にはやれる」「自分には才能がある」と感じさせてあげましょう。

  発達障害やギフテッドの子供と非常に相性が良いといわれるプログラミングやロボットプログラミングを学童期や青年期に学ばせることは想像力の育成やモノづくりの面白さを実感させるという意味もあり、非常に意義が高いといえるでしょう

幼いうちからプログラミング学習を始めるメリットとして、主に次の5つのメリットがあるといわれています。。

  1. 小学校のプログラミング授業の事前準備ができる
  2. 今後の社会で必要な基礎教養が身につく
  3. 大学入試に役立つ
  4. 将来の選択肢が増える
  5. 創造性などさまざまな能力が育つ
  6. 小学校では、2020年度からプログラミングが必修化されました

また、近年IT人材の需要は爆発的に増えており、英才教育としてのプログラミング、ロボットプログラミンの学習は後に大きなアドバンテージを得る可能性が高い事がアメリカの教育学者の研究で分かっています。

 2024年度より、大学入試の共通テストでもプログラミングを含む「情報」が新教科として追加されることが決まっています。

 現代では、プログラミングスキルが求められているのはIT業界に限りません。
 アメリカの会社員の4割はプログラミングが出来て仕事に生かしています。

 プログラミングは流れ図の流れを追うなどの訓練で、ウエイトトレーイングのように論理的思考能力を飛躍的に高める働きがあります。
 この『物事を図に書いて整理して課題解決する力』は現在、必須の能力になってきました。

 学童期・青年期のお子さんにプログラミングやロボット操作、デジタルアート、WEBデザイン、創造力育成教育を学ばせたいなら代表が最も多様な学校・スクールでプログラミングの指導を33年実践するという日本随一の教務経験と資格取得実績を持つ、日本で最小の小学生・中学生・高校生対象のプログラミングスクール札幌WEBプログラミングスクールです

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