以前の投稿記事でも解説しましたが、総務省が実施した小中高校生用プログラミングスクールの調査報告書を読むと、経営者と有識者が考えているプログラミング教育の目的がほぼ皆さん一致しているのが分かります。

今日もその点についてまずは詳しくご説明いたします。

プログラミング思考とはもの事を流れ図にして考えること

文部省の指導要領を読むと、「小学校の各教科にてプログラミングの考えを用いて、学内容をより深く理解できるようにすること」と書かれています。

プログラミング思考とは、課題や問題を流れ図=フロチャートにして考える事です。

北海道大学情報工学科大学院のある教授はプログラミング思考を『思考のプロセスを体験すること』といっていました。

考えてみるとほとんどの人が課題や目的を達成するためのに問題点を図にして考えるという習慣を持っていません。

このプログラミング思考が、ここ数十年間プログラミングを学ぶ意義であると考えらえてきました。

文部省もこの考えを参照しているのでしょう。

プログラムの制作はもの造りである。音楽や絵画を創るのと方法はまったく同じです

しかし、私は最近この考え方に疑問を感じています。

プログラミング思考ではいつまでたっても、革新的なプログラムやビジネスを創造する主体にはならないからです。

『ハッカーと画家』という、知る人ぞ知る有名な本がありますが、実は音楽の作曲も作詞も小説も絵画も事業プランも物事の解決策もプログラムによるシステム設計も、制作方法は同じなのです

それは『システム構築』という方法です。楽天のAmazonのショッピングモールサービスなど大規模なプログラムをシステムと称します。

スティーブ・ジョブズは「自分が知っている優秀なプログラマの上から10人は全員ミュージシャンだ」と言っています

『ハッカーと画家』の著者である、自信も有名なプログラムであるポール・グレアムは

「ビル・ゲイツやスティーブ・ヴォズニアックらのハッカー=天才プログラマは一番画家に似ている」と主張しています。

◆システム構築とは何か?

  • 要求定義 課題に対して何が必要なのか?どんなものが欲しいのか?を文書化する。
  • 概要設計 大まかな全体の設計図を文章で作り、その後それを図にする。
  • 詳細設計 各部分を概要設計と同様に作成する。
  • コーディング 設計図をもとに実物を制作してい。く
  • エラーチェック 出来上がってきた細部のエラーチェックと修正。
  • 現場に導入 完成したシステムを納入して保守・管理していく

この創作の一連の流れは絵画でもドラマでも映画でも小説でも音楽、特にアルバム制作でも建築でも行政サービスでも同じです。

システムは、それが革新的で時代を画するものであれば、世の中を変えてしまいます。

Windowsやihone,Facebook,ビートルズの『サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』のようなアルバムのように。

安倍・菅内閣の政治家や役人のコロナ対策が何をやってもキチンと出来ないのは、彼らがこのシステム構築という概念を分からないからでしょう。

彼らは大学時代に、私のようにコンピュータやプログラムを学んでこなかったですし、卒業後もプログラムのプの字も学んだことが無いのでしょう。

例えば生活支援給付金支給の支払いであれば、どのような内容のシステムにするべきかをIBMや日立・富士通などの大手システムハウス(システム制作会社)の総設計者でありプログラマチームのリーダーであるシステムエンジニアを呼んで、共同で要求定義書を作成しなければなりません。

それを利権を与えたいからと言って、餅屋ではない広告屋に丸投げすれば失敗するのは必定です。

絵画や音楽などの芸術作品を創る場合も、コンピュータのシステム構築が多くの場合もっとも有効な方法ですが、それを知らない。ゆえに活用しないクリエーターも多いと思います。

村上隆や黒沢明、倉本聰などの優れたクリエーターは常にシステム構築を使用して作品を創っていると思います。

以上のような理由により、プログラムを学ぶ最大の理由は、システム構築をマスターして、社会に有益なシステムを創れるようになることだと考え、日々生徒さんを指導しています。

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