2019年 8月3日(土)、4日(日)に東京ビッグサイトで開催された『Maker Faire Tokyo 2019』に行って来ました。今回はこのイベントの展示や講演の内容と私の感想を書きたいと思います。

2020年から始まる小学校のプログラミング授業は、まず使用するパソコンや教材が無い

maker faire 2019 Tokyo写真

2日間の講演の中で、小学校でのプログラミング教育を研究してる青山学院大学特任教授の安倍和弘さんや、2020年からのプログラミング授業の具体的なアイデアを研究している川越市立新宿小学校の針谷大輔先生が、2020年から小学校の現場でどのようなプログラミング教育が可能か?というお話がありました。

 結論から言うと「ほとんど何も期待できない」というものでした。

 同時に始まる小学1年生からの英語の授業もそうですが、教師が英語を話せないのに英会話を教えられる訳がない。

 現在のクラス担任に何でも押し付けるのは無理である。そのくせ、役所は「あれをするな。これもするな」と禁止事項ばかりを言ってくるとのこと。

 教科担任制への変更も検討し、専任のプログラミングや英会話の教員に指導に当たらせないと無理である。というお話でした。
 
 ◆以下、当日指摘された問題点を羅列してみますね。

  1. パソコンを使えない教員が何割もいる
  2. プログラミング教育やSTEAM教育に対して意欲が無く抵抗感のある教員が多数を占めている。
  3. プログラミングという事自体が何なのかが分からない
  4. パソコンなどの機材を購入する費用が無い。2年に1度の理科教材購入費はすでに使途が決まっている
  5. パソコンのある学校でも生徒6人に1台しかない。アメリカは一人に1台
  6. 結局は実施が義務付けられている算数の図形と理科の一部の分野での授業を、型通りに実施して後は何もしない可能性が高い。しかし、そんなものはプログラミング教育でもなんでもない。

micro:bit画像 針谷先生が 「レゴ社のマインドストームやアーテックのロボットなどは公立の小学校では高価で使えない。せいぜい1台数千円のmicro:bit一教室分がやっと」とおっしゃっていました。
 これが、現実だと思います。

  お二人以外の、大阪のロボット教材会社アーテックや、Meshなど数種類のプログラミング教材を開発したsonyの社員の方たちも一様に対談で

 「プログラミングスクールやこういったFairに来られるご父母の方は金銭的に余裕のある方が多く、ゆえに益々親の経済力による教育格差が広がっていく懸念が大きい」

 と発言されていました。
 
 結局、現状と同じようにこれからもプログラミング教育は札プロのような民間企業が担っていくという事でしょう。

 当日の熱気を見ていると、これから『子供たちが面白がって、夢中になって学んでいく授業を展開するスクール』が益々増えていくように感じました。

 『勉強は辛いもの、強制されるもの、我慢するもの』という時代から抜け出し、『勉強は楽しいもの、夢中になれるもの、好きなものを自由に選んで自主的に学べるもの』という時代がもう来ていると思います。

自由に自主性に任せるアメリカの教育。マニュアルの実行を全員に求める日本の教育

Maker faire 2019 Tokyo 厚切りジェイソンお笑い芸人でIT企業役員の厚切りジェイソンさんの講演の内容をご紹介しますね。

 一言でいうと
 「アメリカの教育は本人の自主性を重んじ自由にやりたいようにさせる事を重視するのに対して、日本は最初にマニュアルや指導案を決め、全員がその通りに学習し同じ結果を出す事を求める。」
 という事でした。

 アメリカのやり方は上手くできない子も多く出る半面、飛びぬけた成果を上げる子も出てくるところが良いところだといいます。

 対する日本のやり方は、無難な成果を挙げる子が多く出る半面、飛びぬけた革新的な成果を出す子が出づらいといいます。

 ジェイソンさんは
 「それがコンピュータ産業での今日の両国の実力差となっているのではないか?
 というのです。

 「自分も娘2人を日本の小学校に通わせているが、日本は大学入試が1年に1回の一発勝負で、それがもの凄いストレスとなっている。
 色んな活動をしていても結局学校の勉強一辺倒になってしまう。
 ところが、地理の勉強のように日本では暗記を強要するけど、こんなものはネットにも載っていて必要な時に探せば良いので不必要である
といいます。

 まったく、その通りです。暗記の強要は海外渡航も難かしくコピー機も無かった明治時代の学習スタイルです。

 ジェイソンさんのお話を聴いて、私は即座に東大と京大の教育方法の違いを思い浮かべました。頭脳明晰なジェイソンさんの事ですから、きっとそれも念頭にあったと思います。

型にはめる日本式教育の東大と、自由放任アメリカ式教育の京大


ご存知のように湯川秀樹を筆頭に、日本で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したのが京都大学です。

 官僚養成機関として設立された東大が、秩序や権威を重んじ、組織の中で卒なく仕事をこなす人間を育成しようとしてきたのに対し、学者の養成と基礎研究を目的に作られた京都大学が、教授陣と学生が自由に議論し、学生の興味や自主性を重んじ、出来るだけ自由で放任し、人と違った事をやる事を求める京大。

 京大の教育方針は落ちこぼれたり、怠惰に流れてしまう人が多数出てくる危険性があるにせよ、ずば抜けた成果を出す人間を輩出する可能性も高くなります。

 結果はご存知のように湯川秀樹を筆頭に多数のノーベル賞受賞者やフィールズ賞受賞者を輩出して来ました。

 現在、東大の卒業生は公的文書の改ざんやセクハラなどの数多の犯罪を犯し、官邸官僚になって全体主義的な政治を推し進めています。
 
 これに対して京大の卒業生にはこのような人物が著しく少ないのと思います。

 少なくとも大学では自由に興味に任せて考え抜き、想像をめぐらせ、教官や友人と自由闊達に議論する。
 それが人間的な成長を促し、物事の真実への洞察力を身に付けさせるうえで決定的に重要なのではないでしょうか。

 ジェイソンさんが言いたいこともだいたいこのような事ではないかと思います。

 ◆写真をクリックすると京都大学の卒業式が視られます。Maker Faire Tokyoとほとんど同じ雰囲気ですね(笑)!
  ただし、Maker Faire と比べると面白さが今一ですね。

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