先日、無料相談会に来られたお母さんからこんな質問がありました。
「これから色んな仕事がコンピュータに取って代わられると思いますが、そういった時代で必要とされる,活躍出来る人材になるには,今この子にどのような教育を受けさせるべきでしょうか?」
と言う質問です。これに対して私は、「どんなにコンピュータが発達しても出来ない事に、科学や新規事業の発明・発見や芸術作品などの天才的な作品の創造があります」とお答えしました。
人間にはジグムント・フロイトが発見した無意識があります。人間の記憶などは多くが意識下にあります。
この無意識は、例えば物理学者で日本で最初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士であれば「なぜ陽子ち中性子はくっついて離れないのか?」という疑問を研究課題として持っていましたが、こういった問いに対して脳は寝ていても起きていても、一兆個と言われる 脳細胞と神経=ニューロンを使って答を探し出すべく働いています。
ある日突然、湯川博士は中間子の存在をひらめきました。インスピレーションですね。
実はこの発見のヒントになったのは荘子の胡蝶の夢の話と、禅の教科書と言われる「無門関」でした。
湯川博士は京都で古くから続く国学などの学者の家系で、小さい頃から祖父に儒教の四書五経などの東洋思想を学んでいました。
実は、ノーベル受賞者の共通点を発見しようと研究した人がいます。その人が発見した共通点とは『文理両系』という事でした。
物理学などの理系であれば歴史や文学、思想、芸術史などにも理系同様に精通している人がほとんどだったのです。
また、以前、TVで坂本龍一の脳の写真を、脳の研究者である東京医科歯科大学の角田教授が見たところ、左脳と右脳の連絡通路である脳梁が人並みはずれ太く『こんな脳の写真は見たことがない!」と驚いていました。
ですから、理系のノーベル賞を取るのに高校時代から理科や数学を重視し、理系の大学・学部に行って理系の科目ばかり学習しても取れないという事です。
これは、恐らく大方の認識と真逆の事実だと思います。
天才は天然物、秀才は合成物
ある天才についての研究者は天才を天然の蝶などの生き物や原石に例えました。
一方秀才や科学の力を利用して人工的に作ったものを人工物と称しました。
音楽で言うと、どんなに作詞・作曲のソフトが進歩しても、ポール・マッカートニーが「Yesturdayのメロディはある朝突然神の贈り物のように私の頭脳に降りてきた。私はこれを逃すまいと譜面に書いた」
と言っているような、まさに天然の作り物くささの一切ない、切れ味鋭い宝石の原石のような曲は、永遠にコンピュータには作れないでしょう。
どんなにコンピュータが発達しても、桑田佳祐さんのように「勝手にシンドバット」のような天才的な曲は作れないでしょう。
これらのものは、未だにそのほとんどが未解明で果たして人間がそれを完全に理解出来るのか疑問視されている脳によって、いつも神の降臨のように突然のインスピレーションの啓示により生み出されます。
本当に画期的なビジネスでのイノベーション=新規事業・サービスも同じようにインスピレーションによって作られると思います。
どんなに人工知能が発達しても、ビッグデータ解析が進んでも、それを利用してインスピレーションを得ていくのが人間なので、コンピュータはどこまで行っても人間には追いつけないでしょう。
創造力に優れた人間になるように教育する
今までのお話からお分かりの通り、今実施すべき教育は『創造力に優れた人間になる』事を目的とした教育です。
プログラミングの教育はその一部でしかないですが、コンピュータリテラシー(コンピュータの利用技術)、論理的な思考力を強化し、コンピュータシステムの制作を通じて、物作りの方法を習得するトレーニングとなります。 ロボット制作はエンジニアリングマインドを刺激し科学を利用した物作りの楽しさを体験する手助けとなります。
ビジネスも演劇も作詞・作曲も、絵画作品もシステムです。
まず、アイデアの創出があり、創造の狙い・目的を効果的に実現するために概要設計・詳細設計と進み細部の作り込みを行って行きます。
色んな事にチャレンジ出来るスクールへ
坂本龍一さんが通った幼稚園の事を以前雑誌で話していましたが、お父さんが河出書房の編集者で絵や音楽などの創造性をはぐくむ、色んな活動の出来る小学校を見つけて通わせたそうです。
自由学園幼児生活団に準じた世田谷幼児生活団という幼稚園で、全員ピアノを習うそうで「今日は絵を描きたい」といったら画用紙とクレヨンを渡す。「今日は木琴を弾きたい」といったら木琴を渡す幼稚園だったそうです。
札プロの小学生コースもこのようなスクールでありたいと思っています。札プロは通われる生徒さんの創造力を伸長させるようなカリキュラムと指導を行っていきます。