前回は小学生高学年からプログラミングを学ぶ意義について話しましたね。
今日は小学校低学年からプログラミングやロボットを学ぶ意義についてお話します。
実際に教室はオンラインで指導していての実感でもあるのですが、まず第一の意義は創造力の育成です
低学年の小学生だと、周りの眼を気にしません。
スクラッチにしても、イラストレータでの絵画制作にしても
「これを作ったら、恥ずかしいかな?変だと思われるかな?」
ということを、どの子もまず考えません。
瞬時に頭に思い浮かんだアイデアでものすごいスピードでプログラムを作っていきます。
回を追うごとに作る作品のレベルがアップしていき、自作のスクラッチゲームを学校で披露したところ、同級生が行列を作ってゲームをやりたがる事態に。
といったことも一人二人ではありません。
実は画像の『ライフロングキンダーガーデン』というスクラッチの発明者の著書にも
「スクラッチを開発した目的は思考力の養成ではなく、モノ作りの喜びを実感してもらうため」と書いてあります。
「さらに創造力は適切な教育とトレーニングによって伸長できる。」とも書いてあります。
ですから、小学5年生までは、パソコンでの作曲やイラストレータでの絵画制作などコンピュータに関連するいろんなことに触れさせてあげて、出来るだけ自由にどんどん作品を作らせてあげることで沢山のよいアイデアを出す力、すなわち創造力を育成していくことが大切です。
この勢いを4年生や5年生になっても衰えないように指導していくことで、論理的な思考能力と創造力の両方を伸長させることができると考え指導しています。
小学5年生を過ぎると異性や周りの視線を気にするようになる
長年の教務経験から言うと、小学5年生になると思春期に入り異性や級友、大人の眼を意識するようになります。
虐めなどが酷くなってくるのもこの時期からで、本格的に思春期に突入する中学生で虐めが酷くなる原因の一つが間違いなく性の目覚めでしょう。
ですから、小学5年生に入ると「自分の好きなアイデアで作品を作りない」といっても、アイデアを出し渋ってなかなか制作が進まなくなる子が多くなります。
この時に「恥ずかしいとか考えないで、まずは3個ぐらい思いついたものを書きとめ最初のものから試作しなさい」というと作業が進むようになります。
こういったことが経験からくる指導のコツですね。
学校では創造力を伸ばせないという研究論文のご紹介
私が高校教員時代に社会科教員の免許を取得するための通信教育を受けた佛教大学の研究論文『学校教育が創造力の育成を軽視する要因』という論文に、小中高校で
「新しいテーマや課題に取り組む創造力が教師に不足しているということは、身近な大人をモデリングすることで成長する子どもたちは、創造力を獲得していく機会がないということを意味する。」
と書かれています。では今後状況は改善されるのかというと論文は悲観的です。
「このような状況である以上、今後多くの教師が急激に創造力を身に付けていくことは期待できず、仮に「創造力」の獲得が大切だということになっても、一朝一夕には解決できない課題であるという事態は変わらないと考えられる。」
私が大学に入学して画家になろうと絵を描いた時、まったく何を描いていいのか思いつきませんでした。
それぐらい受験勉強を終えた頭脳の創造力というのはガチンガチンに凝り固まっているのです。
大学入学後も官僚を目指して受験勉強をするようなことをしたら、創造力はほぼ死んでしまうのではないでしょうか?