2025年から共通テストで『情報』が選択できます。ですから現在中2の人から受験可能です。
今日は共通テストの『情報』とその試験範囲、高校で必修となる科目の『情報Ⅰ』の内容。
さらに、その問題点について解説します。
共通テストの『情報』を選択できるのは現中2生から
2025年での受験可能となる『情報』。この教科が必修化されるまでの経緯は以下の通りです。
まず2003年から高校で『情報』という教科が必修となりました。
2013年からは情報が社会にもたらす影響を学ぶ『社会と情報』と、プログラミングも扱う『情報と科学』のどちらかを実施すればよく、高校での実施比率は前者が8割です。
2022年からこれがプログラミングも学ぶ『情報Ⅰ』となります。
文部省が発表した『情報Ⅰ』のカリキュラムの詳細はこちらですが、内容は以下の通りでこれをバランスよく指導することになっています。
- 情報社会の問題解決
- コミュニケーションと情報デザイン
- コンピュータとプログラミング
- 情報通信ネットワークとデータの活用
共通テストの出題範囲はこの『情報Ⅰ』の全部となっています。
応用レベルの『情報Ⅱ』は選択となっています。
『情報Ⅰ』を実施する上での課題
【課題1】情報関連授業の中学時の進度が違う
『情報Ⅰ』を実施する上での課題に一つめは、中学時代の情報関連授業の進度が学校によって違うことです。
中学の技術科で指導する情報教育は技術科の一分野なので教科書をさらっとやって終わりということが多いのです。
そのため高校進学時にキーボードを打てない生徒も多く、逆にプログラミングとサイト作成の両方やってきた生徒もいます。
このため『情報Ⅰ』教科書には、中学の範囲のおさらいが最初にある教科書が数社から出版されています。
【課題2】担当教員の専門性が不足している
全国の高校で情報を教える教員の2割は数学や理科など他教科免許しかもたない教員です。
文科省は情報科教員の採用と現役教員の情報免許取得促進を指示していますが、なかなか思うようには進んでいません。
そのため文科省では情報と他教科免許を持つ教員の効果的な配置、情報科教員を複数の学校で授業担当させるなどの工夫を各自治体に求めています。
このように担当教員が不足しているため、民間企業のライフイズテックでは情報の専門知識のない教員むけの研修を行い、さらに『情報Ⅰ』むけにpythonプログラミング授業の提供を行っています。
その今春からの配信先は公私立合わせて60校になります。
電気通信大学の中山泰一教授は
「とにかく専門性のある教員の全校配置が急務。部活動や行事でもICT活用が進む時代になり、情報教員の役割、学校全体で重要になる」
と語っています。
共通テストの『情報』についてITジャーナリストの三上洋氏は
「高校が学習環境を整えられるかによって生徒の得点も大きく左右されるのではないか。情報教育では教員の人材が不足が懸念され、学習環境の格差が大きい。この格差の是正が課題になりそうだ」と指摘しています。
※今回の記事の情報は主に『朝日新聞 2021年4月6日朝刊』を参考に書きました。